ナナです☆こんばんは!
今日は、前回のあと起こった出来事を書いていくね。
下水道の前に戻ってきたあたしは、寝床を探すために目の前の遺跡に行くことにした。
周りの草を採取しつつ近づいていくと、話し声が聞こえた。たき火の近くに誰かいるみたい。
冒険者さんが野宿してるのかなって近づいていくと、突然笑い声と矢を射るような音が。
高い遺跡の塀越しで様子が分からないから、もっと近くに行ってみようと塀の切れ目から身を乗り出した。
その瞬間、ヒュッと鋭い風が頬をかすめていった。
たき火の近くから、剣を振りかざした男の人が走ってくる。
左側に視線をやると、にやにや顔であたしに向けて矢を放とうとしている別の男の姿が。
(――夜盗だ!)
血の気が引いたあたしの足元に、2本目の矢が突き刺さった。
一目散に引き返えそうとした背に、怒号と矢が次々に飛んでくる。
矢が当たらない位置になんとか逃げてきたものの、剣を持った男はどんどん近づいてくる。
覚悟を決めて、あたしは剣と盾で男を迎え撃った。
男は少し酔っているのか、大声を出して威嚇してくるものの、攻撃自体は鋭くない。
振りかぶった太刀を避け、男の体勢が崩れるところで剣を振り下ろすことを繰り返して何とか倒すことができた。
でも矢は相変わらず飛んできている。
あたしは汗をぬぐい息を整えると、弓に持ち替えて物陰から躍り出た。
開けた場所に男は立ち、弓を構えていた。今や薄汚い笑みは消え、怒りを顔に貼り付けて矢を放ってくる。
あたしは左右に動いて矢を避けながら、男に向かって矢を放つ。どうやらこの男も酔っているらしく、避ける動作は鈍い。
狙いを定めて10本ほど放ったところで、男はついに倒れた。
警戒を解かないままゆっくりと近づいて事切れているのを確認したら、あたしはぺたりとその場に座りこんでしまった。
まだ心臓がばくばく言っている。
しばらく熱を失っていく男の体を見つめながら、これから旅をするってこういうことなのかなってぼんやり考えていた。
人の形をしたものを殺すことは獣を殺すのとさして変わらなかったことがなんだかおかしかった。
ふと、冷たいものが手に当たった。見上げると、星の消えた真っ暗な闇が広がっている。頬にも冷たいものが当たる。
雨だ。
のろのろ立ち上がり、男達に刺さった矢と使えそうなものを拾った。たき火の近くには寝床があったけれど、あの2人が使っていたものだと思うと使う気がしない。
遺跡の中心部へふらふら向かうと扉が見えた。
雨をしのげればと、あたしは吸い込まれるように闇へと足を踏み出した。
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